おばかな変態保健医の日記

By 斎姫さま

その3.5




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 あ、と。こんな時、私はどうしたらよいものだろうか。
 こんな時のスマートな対応とは如何なものか・・・。

 光安先生が出て行かれた後、鏡で”あと”の確認をしてみて思ったことである。
 鏡の中では、赤い目で涙のあとを残したままの私が写っている。

 私は、泣いていたのか?

 確かに落ち込んでは・・・いた。
 毎年、普通に想っていた事がなかったことがショックだった。
 それは、認める。
 だがしかし、そのことでアンニュイな気持ちにはなっていただけではなかったのか。
 気付かないうちに?あとが残るほど泣いてしまうほど?
 それほどのショックを私はうけていた?
  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
う〜ん。なんだか色々と考えていると段々と腹が立ってきたぞ、私は。
なんで、この美形な私がたった一つのことでこんなにも悩まなければならないのだ。

いや、違うな。
悩んでいるのではなくて、単に余りにも頭にきすぎていているだけだ。うん、そうだ。

約束を破られれば誰だって頭にも来るというものさ。
しかも私が言い出したことではない、言い出しは・・・・・・彼のほうだったのだからね。
そうだ。私の怒りは正当だ。

しかし・・・・。そこは私も大人だからね。
約束を破られた、くらいのことで傷ついたり、ましてや涙したりなんて、ね。
もちろん。怒りを持続するなんてスマートでないことも、ね。
  

さ!もうそろそろ職員会議の時間だし、行くとしよう。
ああ。その前にこの顔を何とかしなくてはね。
美形たるもの、いつ如何なる時でも身だしなみには気を付けていなくてはね。






本日の職員会議は・・・・・なんだかいつもと雰囲気が違うようである。
なんというか、真剣み(?)がないのである。
??????????
変だな。
大体、本当なら今日は会議の日ではなかったはずである。急に入った会議と言うことは緊急会議になるはず、なのだが真剣みがない(?)。
しかし、一応議題はあるらしく話は進められているようだ。
まあ。内容は保健医である私には全く!関係のないことだけれどね。





そうそう。余りにも私には関係のない議題なので少しばかり頭の中を整理してみよう。
時間は有効に使わなくてはね。

まずは、なぜ今年はあの人からの贈り物が届かないのか?
毎年、一番初めに届くのに・・・。
私に日本のバレンタインと言うものを教えてくれた人。


「日本の男にとってのバレンタインは、贈り物を貰う日で贈る日ではない」と。
そして「日本の男はホワイトデーで贈り物を贈るのだ」と。


「しかしそれではゲイである私は、日本ではどうすればいいのか?」

確か私は教えてくれたあの人にそう尋ねた。

マムやその他の素敵なマダムやマドモアゼル方にはそのホワイトデーとやらにお返しができる。

しかし恋人には贈り物が出来ないということになってしまわないか?とね。

そんな私にあの人は言ったのだ。

「バレンタインには私が君に贈り物をする」と。
そして「ホワイトデーに君から私に何かお返しが来ると嬉しい」と。

それからずっと、約束は守られていた。
私は、男でも女でもバレンタインには贈られホワイトデーには贈るという日本の正しい伝統(?)とやらに倣っていた。

そうだ。約束を言い出したのはあの人のほうだ。
そして約束を破ったのもあの人のほうだ。






 「・・・・・・・・・・・・・い、先生?」

ん?・・・・・・・・・・・あ゛!!し、シマッタ。
私としたことが回想に夢中になっていた余り会議が終わっていたことにも気付かなかったようだ。
不覚である。

「藤村先生。もう会議は終わりましたよ?
 早く、保健室に戻られた方が宜しいですよ」

「そ、そうですね。では」

恥ずかしさの余り、会話もそこそこに席を立つ。
ああ。なんということだ、私としたことが・・・・・・くっ。







    ガラガラガラ〜〜ッ

急ぎ足で保健室に直行した私がそのままの勢いでドアを開ける。
紳士にはあるまじきスマートでない行為と言うのは理解しているのだか如何せん、どうにもならない時もあるもので・・・。

しかし私は室内に入ったと同時にあるものに目を奪われ、・・・・動きを止めてしまった。

「えっ?!」

そこには、出る時にはなかったはずの一つの箱と赤い花束と・・・・が。



2月14日。
   バレンタイン・デー。<St.Valentine’s Day>
  愛する人に贈り物をする日。
  それに一言、私から付け足しておこう。
  「愛する人に贈り物を貰う日」とね。


              終わりv


ちょっとおまけ〜♪

 この日の私の携帯は、充電がされていなかったようである。
 そう、つまり・・・・。電池切れというものである。
 因みに、朝一番に届くはずのものとは、あの人からの電話メッセージだったのだが・・・・。

 ああ、もう何も言うまい。



3.5 END

【斎姫さま♪、『4』お待ちしています(笑)By もも♪】

ふふっ、まだまだ『秘密』の匂いがしますねv 静センセv
斎姫さまはこんな謎の言葉をおっしゃっておられます。

『光安先生がわっざわざ、保健室に来たわけは・・・・・・。断れなかった光安先生vvふふ』

当然、続きアリですわね、みなさまvv

斎姫さま、『続きプリーズ』!


「4」へGO!
でもその前に、忘れ物しないようにねv