昇きゅんの日記

【僕はご機嫌ななめ】


前編




ぼく 昇。 幼稚園の年中さん。
5才で 3人兄弟の真ん中。

お兄ちゃんは 悟。 弟は 守。
みんな 同じ年なんだ。 でも 三つ子じゃないんだよ。
え? 知ってるの?? 悟が言ってた??

ふぅ〜ん・・・ そうなんだ。。
あ ぼくたち兄弟は それぞれ おかあさんがちがうんだ。
おとうさんは 同じなんだけどね。
よくわかんないけど 『オトナの事情』ってヤツなのかな。

おとうさんは オーケストラの指揮者で ずっと外国でくらしてる。
年に何回かしか 会わないから どんな人なのか よくわかんない。
で ぼくたちは ママとぼくと悟と守の4人でくらしてるんだ。

一緒にくらしてるママは 悟の本当のおかあさんで
ぼくと守を産んでくれた人は 外国にいるんだ。
あ でも ぜんぜんさびしくなんかないんだよ。
だって ぼくも守も 産んでくれた人より ママの方がず〜〜っと大好きなんだもん。



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夏休みが始まる前にママが ぼくと守に
「夏休みは、ママと一緒におかあさんたちに会いにウィーンに行くから、そのつもりで用意をしておきなさい。」
って言ったんだ。

え〜。めんどくさいなぁ。
別にぼくたちは産んでくれた人に会わなくってもいいんだけどな。

そう言ったらママに 「何言ってるの!約束なんだから、絶対に連れて行きますっ!」っておこられちゃった。。


でも 一番びっくりしたのは 悟がお留守番だってこと。
だって いつもどこに行くのも 3人一緒だったから 今度も絶対一緒だと思ってたのに・・・

「ぼくも つれてって!」って 悟が泣いてお願いしたのに ママは
「遊びに行くわけじゃないからダメ!」って言って 本当に連れてこなかったんだ。

お見送りに来た空港でも まだ 悟はぐずぐず言ってて ママに
「お兄ちゃんでしょ?お利口でお留守番しててね。」って言われても ずーっと泣いてたんだ。

ぼくたちがウィーンに行ってる間、悟は桐生のおじいさまんちでお留守番することになっていて・・・ それを聞いて、ぼくと守はちょこっと ほっとしたんだ。

だって・・・ 桐生のおじいさまんちって なんとなく居心地が悪いんだよね。
まだウィーンの方が マシ・・・かなぁ。。。

そんな訳で ぼくと守は 「一杯お土産買ってくるからっ!!」って 悟と約束してウィーンに来たんだよ。


  
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つまんない・・・・・・
ほんっとうにっ つまんない!!!!

ウィーンってさ 子供が来ても楽しい街じゃないんじゃない?
古くってきれいな街だけど ディ●ニーラ○ドがあるわけでもないしさ。
なんかね・・・ 楽しくないっ!

おまけに 産んでくれた人が
「親子水入らずで過ごしたい」なんて言っちゃって ママいないんだもん。
水入らずって言っても 言葉が通じないからって 通訳さんが一緒なんだよ。
水入らずでも何でもないじゃん。

「毎日どんなことして過ごしてるの?」って聞かれて 幼稚園のお話をしたんだけど何かピンとこなかったらしくって 変なこと聞いてくるし、もうぜんぜん話がかみ合わないの。

間に入った通訳さんが あわあわしちゃって ものすごく気の毒だった。
守の方も似たようなもんだったみたいだし・・・・・

もう早く帰りたいなぁ・・・・・・・



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悟へのお土産をいっぱい買って帰ってきたら、悟が空港にお迎えにきてくれてた。
すっごいニコニコの笑顔でお出迎えしてくれたんだけど・・・・
何か悟ってば日焼けしてない?? 鼻の頭の皮がむけてるよ。

「ねぇ、どっか行ったの??」って聞いたら
「うんっ。おとうさんがね お泊りで海に連れて行ってくれたの。」って言ったんだ。

ええええ〜〜〜〜!!!!!
ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい。。。。。。。
ぼくだって ウィーンなんかより 海のほうがよかったのに〜〜。

「ふぅ〜ん、そう。。。 で、楽しかった?」って聞いたら 悟が
「うんっ! いっぱい遊んでもらったんだ。 花火もしたよ! 昇と守もウィーン楽しかった??」って言うからさ


「ううん。ぜんっぜん楽しくなかった!!」


っていってやったんだ。だって本当のことだもん。

わたわたしてる悟を横目で見ながら ぼくは「ふんっ!」ってそっぽむいてやった。

だって〜 悟だけ楽しいのって絶対ズルいよね〜。



ご機嫌ナナメのまま中編へ続く〜

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