第1校舎、1階、ど真ん中の右隣への入り口(笑)





 俺、横山大貴。聖陵学院中学校の三年だ。
 生徒会で書記やってる。
 けれど、もう、引継ぎの時期になった。

 一年間守ってきた俺たちの中学生徒会は、『史上最強の生徒会』って呼ばれてきた。
 高等部の生徒会からも一目置かれていたくらいなんだぜ。

 理由はってーと、一言で言うなら『カリスマ生徒会長のおかげ』ってとこかな?

 生徒会長は桐生悟。
 とんでもなく頭のいいヤツで、しかも人当たりがいい。
 といっても、べたべた優しい訳じゃないんだ。
 普段はどっちかってーとクール。
 けれど、ここ一番って時に、スッと差し出される『救いの手』みたいなのがきっちりツボをついていて、あっという間に人心を捉えちまう…ってとこかな?

 副会長は浦河真路。
 ちっこくて華奢で美人顔。ちょっと神経質っぽいと受け止められがちなんだけど、なかなかどうして芯は強い。
 悟とは中1の時からの仲良しで、生徒会長の右腕として、いろんな意味でこれ以上のヤツは同学年にはいないと思う。
 
 そして、俺が書記。
 悟からは『お前といるとホッとするよ』っていつも言われるんだけど、一応いい意味に取らせてもらってる。
 あいつ、なかなか本心は見せないけれど、嘘はつかないヤツだから。

 で。
 以上が三役って呼ばれてて、生徒会の中心だ。
 俺たちはこの1年間、一生懸命な中にも楽しくやってきた。
 
 そして、いよいよ今日、新生徒会役員への引継ぎが行われるんだ。



 新生徒会長は浅井祐介。
 去年の悟についで、ほぼ満票という驚異の得票で当選した。
 そうそう、悟も浅井も、何がすごいって、ほとんど選挙活動してないってとこだよな。
 だいたい、立候補そのものが、前執行部の罠にはまったようなものだったし。
 
 まあ、悟としては、これ以上ない最高の後がまが出来たわけだから、万々歳ってとこだな。


 逆にちょっと当てが外れたのが真路だ。

 今回の選挙、副会長候補の最有力が、直前で戦線離脱したんだ。

 まあ、中沢もバスケ部の主将になっちまったら、生徒会との掛け持ちはキツイよな。
 なにしろ、バスケ部、テニス部、剣道部…っていえば、全般的に強い聖陵の運動部の中でも、特に強いところだからなあ。
 仕方ないよな。
 


 さてと。
 これからそれぞれの役職別に引継ぎを行って、放課後、悟が浅井に生徒会のすべての鍵を渡し、一緒に顧問の先生の所へいって、それですべての引継ぎが完了…ってことになる。

 あとは俺たち、卒業と中等部の寮の退寮を待つだけだ。

 今年も3年生全員がそのまま高等部へ進学する事になっていて、寮の引っ越しって言っても、同じ敷地内の別棟へ移るだけなんだけど、学年違いの思い人を持ってたりすると、このイベントはそれこそ『一大事』だ。

 同じ建物内にいるのと、別になっちゃうのとじゃあ、そりゃまあ…違うだろうな。

 だから、この『学年終わり』って言うのは、バレンタインにも劣らないほどの『告白の季節』になるってわけだ。
 離ればなれになる前に、気持ちを知りたい、確かめておきたい…ってね。

 ま、いずれにしても、俺には関係ない話だけどな。 
 筋金入りのノーマルって言われてる悟にも、関係なさそうだけど。


 あっと、その悟が呼んでる。
 
 さあ、最後の一仕事だ。



大ちゃんのモノローグ お・わ・り

中学時代の大ちゃんでした(^^ゞ

さて、続き『新旧生徒会長のアブナイ放課後』もごらんになります?