『第1校舎、1階、ど真ん中の右隣り』
〜新旧生徒会長のアブナイ放課後〜
注!とことん、パラレルです(^^ゞ
「悟×葵」、「祐介×葵」をこよなく愛していらっしゃる方は、
このままお帰りになる方が無難です(笑)
ドアを開けると、ひんやりとした空気が部屋のそこここに溜まっている。 第1校舎、1階。 その真ん中の部屋は高等部の生徒会室で、今、悟が開けたこの部屋は、その一つ右隣。中等部の生徒会室だ。 この部屋の鍵を持つことが出来るのは、まず生徒会顧問の教諭。 そして、生徒会長、副会長、書記の合計4名だ。 その反対に、帳簿等を納めたロッカーの鍵は顧問と会計にのみ渡されていて、会計は部屋の鍵を渡されていない。 つまり、簡易のセキュリティーが敷かれているということになる。 しかし、今、悟の手元には、生徒が任されている部屋の鍵3本と、ロッカーの鍵1本がある。 ただし、今はロッカーの中にはなにもない。 引継終了まで、すべて、顧問が私室に保管しているためだ。 それは毎年恒例のこと。 悟も去年、この部屋で前任の中等部生徒会長からすべての鍵を渡され、一緒に顧問の所へ行き、重要書類を引き継いだ。 あれから1年。年度がつつがなく終わろうとしている。 間もなく卒業して高等部に進学する悟は、ここで、後任を待っている。 2週間前、選挙で選ばれた新生徒会長を。 「遅くなってすみません」 入ってきたのは2年の浅井祐介。 選挙では、ほぼ満票を得ての当選だった。 何をやらせてもOKの、2年のアイドル。 入学してきたときにはまだまだ小さくてあどけない表情だった彼も、今や(まだ伸びるだろうが)身長は170を軽く越え、『可愛い少年』から『綺麗な青年』になろうとしている。 「いや、今来たところだから」 そういって、手振りだけで椅子を勧めると、祐介は軽く頭を下げてから腰を下ろした。 お互いに緊張しなくてはいけないわけは、何もない。 この2年間『管弦楽部』では毎日のように顔を合わせていたのだから。 そして、後を任せられるのは祐介しかいない…と思ってきたのだから…。 だが、誰もいないこの部屋で、2人だけで向き合うと……。 ずっとしまい込んできたはずの『想い』が、ふといたずらにその蓋を開けようと手を伸ばす。 「まず…鍵を引き継ぐよ」 しっかりと目を見て、少しだけ微笑んでそういうと、祐介は神妙に頷いた。 「はい」 「手を出して」 言われたとおり、素直に祐介は手を出した。 その手はすらりと細くしなやかで、自分と同様に綺麗に切りそろえられた爪が、楽器を操る手だと言うことを教えている。 「これが、生徒会長用の鍵」 言って、一つその手に乗せる。 「そして、これが副会長と書記の鍵」 キーホルダーの色が違う。 「これが、会計用のロッカーの鍵だ」 これは形状が違う。 すべてが綺麗に乗せられた、祐介の白い手のひら。 悟はその手をそっと、鍵ごと自分の大きな手で包み込む。 「浅井…」 「悟先輩…」 視線がぶつかる。 こんな事は、今までに何度も、何度も、あったことなのに…! その度、溢れ出ようとするものを渾身の思いで封じ込めてきたというのに、こんな些細なことで自分の努力を裏切るわけに行かない。 悟はグッと唇を噛んだ。 その様子を見て取り、祐介が不安げに瞳を揺らす。 「先輩…」 その声は何故か誘うように掠れていて…。 ふと身体が揺らいで顔が近づく。 頬をかすめるかすかな息すら甘いような錯覚に陥る。 部屋には二人きり。 校内だというのに、不思議なほどの静けさが満ちている。 だから余計に…吐息の音が…跳ね上がる鼓動が…耳について……。 堪らずに手を伸ばしそうになって、悟は慌てて手を引こうとした…のだが…。 「せんぱいっ」 その手を、思わぬ強さで祐介が引いた。 「あさい…」 「僕では…」 瞳が揺れる。 「ダメ…ですか?」 その瞬間、何かがプツッと音を立てたような気がする。 「…っ!」 気がついたときにはもう、渾身の力で抱きしめていた。 しかも体重をかけ、その身体を机に押さえつけて…。 桐生悟と浅井祐介。 1学年違いの二人は『よく似ている』と言われてきた。 何をやらせてもそつなくこなす、学年一の秀才。 柔らかい人当たりの中に潜む『孤高』。 何でも出来るスーパーマンが、本当に求めているものは何なのか。 それは誰にも想像がつかないものであったのだが…。 「…せんぱ……い」 「…あさい…」 呼び合う声に息が混ざり始める。 誰か一人を見つめているなんて、知られてはいけないことだった。 周囲にも、もちろんその本人にも。 似ていると言われているからこそ、余計に自分の心を隠し、穏やかに、大勢の一人として振る舞い、扱ってきた。 「…んっ」 鋭い衣擦れの音を立てて、タイが引き抜かれる。 一番上のボタンを外しただけで、堪らなくなり、その首に顔を埋める。 そして、その肌のきめ細やかさを確かめるように、舌を這わせ、歯を立てる。 「…っ!」 祐介が必死で殺そうとする息は、もうすでに、火傷をしてしまいそうなほど熱い。 それを身体に感じた瞬間、もう、悟は完全に歯止めを失っていた。 引きちぎらんばかりにシャツをはだけ、手荒くベルトを引き抜く。 しかし、祐介からの抵抗はない。 ただ、身体を侵し始める熱に、唇を噛んで耐えるだけ。 ひんやりしていた悟の唇と舌は、その熱い身体を辿るうちに、同じ熱を孕む。 そして、辿る舌先を迎え入れるように祐介の肌は露わになり、少年期特有の甘い芳香を放ち始める。 「…あ・・」 堪えきれずに上がる、鼻にかかった甘い声。 冷えた室内の空気を心地よく感じるほどに、二人の熱はとどまるところを知らず、上がっていく。 「…ゆう…・」 名を呼ぶのももどかしく、ぶつけるように唇を重ねると、悟は祐介の足を抱え、そのまま机の上へ、自分ごと乗り上げる。 「…せんぱ…いっ」 不自然な姿勢のせいで、さらに辛くなった呼吸の下、祐介は縋るように悟の首にしがみついた。 「…いい…か?」 …苦しげな声色で、悟が発したその言葉は、何の許しを求めているのか。 自分と同じであればいい…。 今、自分をその身体の下に敷き込んでいる、この綺麗な先輩と、自分の思いが同じであれば…。 祐介は小さく頷き、そして声にした。 『はい』…と。 |
一応、END(笑) |
さて、純情な乙女のあなたはここで引き返しましょうv
つ、続きは…。
知りませんからね…。どうなっても…。
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