〜漆黒の闇に生きて〜
予告編
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「おはようございます。組長」 朝の挨拶と共に深々と頭を下げる長身の美丈夫に、『組長』と呼ばれた青年はその呼び名に相応しくない、はにかんだ笑顔で答える。 「おはようございます。」 身長はそこそこにあるものの、まだ、少年の色さえ残した優しげな面立ち。 「…組長、私などに敬語を使う必要はありませんと、何度申し上げたらおわかりいただけるのでしょうか」 だが、『若頭』の冷たい物言いに、その柔らかい笑顔は曇る。 「…ええっと、ごめんなさい…」 「『ええっと』は要りません。そう言う言葉遣いをしていると下のものから甘く見られます」 ――ただでさえ、あなたの笑顔は可愛らしいというのに…。 そんな心の中まで見せはしないけれど、若き『組長』の教育係である彼は、『組長のため』、心を鬼にする。 「あ、はいっ」 「『あ』も要りません」 「う…」 「言葉に詰まらないようにとも申し上げたはずです。 必ず同意をするか、言い返すか、どちらかにして下さい。 組長、あなたは義理とはいえ、世界に君臨する『前田商会』の会長の弟なのですよ。 次期会長の椅子も待っているというのに…。 その辺りをもう少し、自覚していただきませんと」 「…でもっ、和彦さんっ」 思わず口にしてしまったその名に、『若頭』が目を眇める。 「…組長。ここ33階では私のことは、小倉…とお呼び下さい…と」 「…いやだ。今はまだ誰もいないんだから、少しだけ…」 珍しくも反抗して見せた『組長』…は、和彦の厚い胸板にそっと頬を寄せた。 「……淳」 戸惑いを含みつつも、ほんの少し、オフの時のように甘やかな声でその名を呼んでくれた、炊事洗濯掃除…すべてに万能な『スーパー若頭』である『恋人』に、組長…淳はホッと息を吐く。 「僕は会長の跡目を継ぐ気なんて無い。 会長には実の息子がいるじゃないか。彼が継げば良いんだ」 「ですが、彼はまだ高校生。やはり会長の跡目は…」 「絶対にイヤだ! 僕は、こんな世界から足を洗って、和彦さんと陽の当たるところで生きていきたい…」 「…淳…。まったく、こんな甘えん坊に誰が育ててしまったんでしょうね…」 言葉とは裏腹に、嬉しそうにそう言って和彦が淳の髪を優しく梳きはじめたとき、前触れもなくドアが開いた。 「そんな風に育てたのはあなたでしょう? 小倉さん」 「…智雪さん」 「悪いけど、俺だって前田商会を継ぐ気なんてないよ。 インテリだとか何とか言われようが、所詮やくざはやくざだ。二人はまだ知らないと思うけど、俺の恋人はカタギの子なんだ。 直の為にも俺は絶対この世界から足を洗う! 絶対に邪魔はさせないからな!」 「智雪さんっ!」 たった一代で、イタリアマフィアですら一目置くという闇の組織を作り上げた現会長・前田春之。 『怪人』と呼ばれる彼の跡目を継がされるのは、義弟の淳か、はたまた実子の智雪か…。 『絶対に逃げ切ってみせる!』 ――跡目の押し付け合い…。 『任侠小説』としてはあるまじき不毛な抗争の幕が今、切って落とされる……。 |
始まってもいないのに 完 |
えへへ(^^ゞ
看板息子の誕生日は忘れても、この日だけは外さないという4月1日!
2005年もエイプリルフール企画におつき合いくださいましてありがとうございましたv
は? 私に「やくざもの」が書けるわけないじゃないですか(笑)
というわけで。
昨年が「もしも『君の愛を奏でて』の舞台がホストクラブだったら」…だったので、
今年は「もしも『33階』がホストクラブだったら」…で書こうと思ったのですが、
和彦さんや淳くんがホストになったところで、なんだか普段と代わり映えしなくて(おい)
会長は相変わらず誰かを『お持ち帰り』しようとするし(おいおい)
『さて、どうするべ?』
悩む私に悪魔の囁き救いの手を差し伸べて下さったのが、PロさまとMつさまでございました。
優雅にランチタイムとしゃれ込んだ1週間前の昼下がり。
ナイフとフォークを手に呆然とする私の前で、お二人は、
『やっぱやくざものよね〜』
『そうそう! 33階を「前田組」にしちゃうなんてどう?』
『きゃ〜、それより「前田商会」の方がよくない〜?』
『それいい〜!』
…などと、盛り上がりまくり、こんなことになっていまいました(笑)
しかもP画伯は壮絶に艶っぽいイラストまで描いて下さるし〜( ̄ー ̄)
ええ、もうお二人には足を向けて寝られません(爆)
バックで戻ってねv
…それにしても。
このイラスト、一日だけの企画にはもったいないと思いませんか〜!
和彦さん、格好良すぎ(笑)