ある日の昼間
葵:初めまして。1年D組の奈月葵です。
貴史:は、初めまして。3年3組の秋園貴史です(ドキドキ)。
葵:どうしたの?緊張してる?
貴史:あ…はい。いえ…あの間近で見ると…。
葵:間近で見ると…?
貴史:もっと、綺麗だな…とか思って…。
葵:僕が?
貴史:(頷く)
葵:ありがと。でも、秋園くんだってとってもかわいいよ。さすが涼太がぞっこんなだけあるね。
貴史:ぞ…ぞっこん?
葵:うん。べた惚れ状態だね。涼太は。
貴史:そんなことないですっ。ぼ…僕は中沢先輩に…その…あの…。
葵:べた惚れ?
貴史:…ですけど…。
葵:かわいーんだー。
貴史:や…そんなことは…。
葵:涼太って優しいでしょ?
貴史:はいっ。すごくっ。
葵:いつもどこで会ってるの?寮も校舎も別だし…。
貴史:えっと、部活が同じ体育館なので、部活のあとにいつも…。
葵:いつも?毎日?
貴史:あ…はい、毎日…。
葵:どんな話してるの?
貴史:その日一日の出来事とか…。他愛もない話ばっかりですけど…。
葵:でも、それが大切なんだよねー。日常を大切にしあえる人がいると幸せだよね。
貴史:ホントに…そう思います。
その日の夕方…某所。
『イニシャル座談会』
出席者:1年D組のA.Nさん(管弦楽部)、3年3組のT.Aさん(バスケ部マネージャー)
A:で、やっぱり痛かった?
T:はい。かなり。でも、それ以上に恥ずかしかったです。あんなこと…。
A:う〜ん。それはそうかも…。僕はそういう経験ないからなぁ…。
T:普通はそうあることじゃないと思うんですけど…。
A:…だよね。で、どんな感じ?
T:えっと…あのですね、こう、脳幹を直撃って言うか…。
A:う、わ…。
T:こう、しびれみたいなのが背中を突き抜けちゃうんです。
A:ひえ〜。だって、あれって見た目よりずっと固いし、それにデカイじゃない。
T:そうなんです。僕も、手にしてる時はそんな風に思わなかったんですけど、いざとんでもないところに受けるとすごい衝撃で…。
A:だろうね〜……。
T:でも、ほんとのこと言うと、あんまりよく覚えてないんです。気がついたときはベッドの中でしたから。
A:それで、後は大丈夫だった?
T:気分は…悪くなかったです…。ずっとN沢先輩が側にいてくれたから…。
A:でも、もうバスケットボールに頭をHITなんかされちゃダメだよ。R太が心配するから。
T:はい。…きっともう大丈夫です。部活中は集中できるようになりましたから。
A:いつも、R太は君のこと見てるからね。
T:(頬を染めて頷く)…あの〜、一つ聞いてもいいですか?
A:うん。何?
T:N沢先輩って、寮の部屋ではどんな感じですか?
A:ふざけてるか、雑誌読んでるか…かな。
T:どんな雑誌ですか?
A:…………聞かない方がいいと思う…。
T:え…。
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